祖母の着物 No.029|深い緑に花と蝶が広がる友禅絞り【正絹・家紋なし】

祖母から受け継いだ深い緑地に色とりどりの花と蝶が描かれた正絹小紋の全身コーディネート alo-kimono

はじめに

祖母の着物を整理していると、着物だけではなく、その一枚について教えてくれるものが一緒に残されていることがあります。

今回ご紹介するのは、深い緑を基調に、たくさんの花と蝶が広がる正絹の小紋。

赤、桃色、白、紫、青などの花が細やかに散りばめられ、ところどころには蝶の姿も見つけることができます。

そして今回、もうひとつ残しておきたいものがあります。

それが、この着物の反物に付いていた包装と表示です。

そこには、

「小紋」
「絹100%」
「長さ12.0m」

という記載が残されています。

着物だけでは分からない情報まで一緒に残っている、alo kimonoにとっても貴重な一枚です。


この記事でわかること

  • 祖母が残した友禅絞り
  • 深い緑に花と蝶を配した柄の魅力
  • 反物に残された「絹100%・長さ12.0m」の記録
  • 袋帯を合わせたコーディネート
  • 昔の着物を「資料と一緒に残す」意味

この着物について|基本情報

  • 種類:友禅絞り
  • 素材: 絹100%(反物の表示より)
  • 地色: 深みのある緑系
  • 主な意匠: 花・蝶など
  • 反物表示: 長さ12.0m
  • 帯: 袋帯
  • 所蔵: alo kimono/祖母の着物コレクション

※制作年代や染色技法など、残された資料から確認できない情報については断定せず、今後分かったことがあれば追記していきます。

花と蝶を描いた緑色の正絹小紋に淡い袋帯と水色や桃色の小物を合わせた着姿

主役の着物|緑に広がる花と蝶

最初に目に入るのは、落ち着いた緑の地色。

その上に、赤や桃色、白、紫、青など、さまざまな色の花が細やかに広がっています。

さらに近くで見てみると、花の間には蝶の姿も。

大きな一つの柄を主役にするのではなく、小さな意匠が着物全体へ連続するように配置されています。

少し離れて見ると、深い緑を基調とした落ち着いた一枚。

でも近づいてみると、

「ここにも花がある」

「ここには蝶がいる」

と、次々に細かな意匠が見つかります。

遠くから見た印象と、近くで見た印象が違う。

そこも、この小紋のおもしろさです。


反物の包装も残っていました

今回のアーカイブで、ぜひ一緒に残しておきたいのがこちらです。

祖母は、着物だけでなく反物に付いていた包装も残していました。

そこには、

「絹100%」
「長さ12.0m」

という品質表示が確認できます。

さらに文章には、

「晴れをもつ心は美しい。」

という言葉から始まり、友禅絞りについて紹介する文章も残されています。

今なら商品のタグや品質表示を確認するのは当たり前ですが、何十年も前の着物について、こうした資料が着物と一緒に残っていることは大切な手がかりになります。

祖母の小紋と一緒に残されていた反物の包装に記載された絹100%と長さ12.0mの品質表示

「正絹だと思う」ではなく、資料で確認できる

古い着物を受け継いだとき、

「これは正絹かな?」

「何という種類の着物だろう?」

と分からないことがあります。

今回の一枚がおもしろいのは、見た目から推測するだけではなく、
残された表示から「小紋」「絹100%」と確認できること。

これはalo kimonoのアーカイブとしても大切に残しておきたい情報です。

着物そのものだけではなく、

タグ、反物の包装、仕立てに関する紙なども、その着物の歴史を伝える資料になる。

祖母の着物を整理しているからこそ見えてきたことのひとつです。


花だけではない|蝶を探す楽しさ

この着物をよく見ると、花の中に蝶が描かれています。

蝶は日本の着物や工芸品にも見られる伝統的なモチーフのひとつです。

花々の中を蝶が舞うように配置されていることで、着物全体に動きが感じられます。

写真を拡大して、

「どこに蝶がいるだろう?」

と探してみるのも、この一枚ならではの楽しみ方です。


コーディネート|淡い袋帯で着物の柄を引き立てる

今回合わせたのは、淡い生成り系の袋帯。

着物そのものにたくさんの色と柄が入っているため、帯は明るくやわらかな色を合わせました。

深い緑の着物と淡い帯。

その間に、淡い水色や桃色を感じる帯揚げを入れ、帯締めには珊瑚色に近い柔らかな色を合わせています。

着物の中にも似た色があるため、帯まわりだけが浮かず、着物全体へ自然につながります。

深い緑を基調に花や蝶の文様が全体に広がる祖母の正絹小紋

柄の多い着物だからこそ「一色を拾う」

多色使いの着物は、

「帯や小物を何色にすればいいんだろう?」

と迷いやすいかもしれません。

そんなときは、着物の柄の中にある色をひとつ拾うという考え方があります。

今回なら、花に使われている桃色系を帯締めに。

青みのある色を帯揚げに。

そうすると、新しい色を突然追加するのではなく、着物の中から色を取り出したようなまとまりが生まれます。

祖母の着物を今の感覚でコーディネートするときにも使いやすい考え方です。


包装に残された言葉も、着物の歴史の一部

今回残されていた包装には、品質表示だけでなく、小紋を紹介する文章も印刷されています。

着物そのものとは違いますが、

その着物が販売されていたとき、どんな言葉で魅力を伝えていたのか

を知ることのできる資料でもあります。

今のオンラインショップの商品説明とは違う、当時ならではの言葉。

着物を残すということは、布だけを残すことではないのかもしれません。

その周りに残された紙や言葉も一緒に記録することで、一着が持っていた背景まで未来へ残すことができます。


この一枚の魅力

この着物の魅力は、

「静かな緑の中に隠れた、たくさんの色と物語」

だと思います。

全体を見ると落ち着いている。

でも近づくと、花がある。

蝶がいる。

細かな線や色が重なっている。

さらに反物の包装まで残っていて、この一枚が「正絹の小紋」として作られ、販売され、祖母のもとへ来たことを今も確認できます。

単に「昔の着物」ではなく、

一枚の着物が歩いてきた時間まで残っている。

そんなところにも、このアーカイブの価値があります。

深緑の花柄正絹小紋に生成り系の袋帯と珊瑚色の帯締めを合わせた帯まわり

おわりに

祖母から受け継いだ着物を一枚ずつ記録していると、着物だけを見ていては分からないことに出会います。

今回は、深い緑に花と蝶が広がる正絹の小紋。

そして一緒に残されていた、反物の包装。

そこに記された、

「小紋」
「絹100%」
「長さ12.0m」

という情報。

何十年か経った今、それがこの着物を知るための大切な資料になっています。

着物を未来へ残すなら、布だけではなく、分かる範囲で「その一枚について残っている情報」も一緒に残す。

alo kimonoでは、祖母の着物を通して、そんな記録も少しずつ積み重ねていきたいと思います。


アーカイブ #028(グラデーションが美しい総絞り)

アーカイブ #027(正絹の夏着物と絞り帯)

着物アーカイブ一覧


あとがき

着物のTPOや考え方は、昔に比べて現代はずいぶん“やさしく”なっています。この記事は一般的な目安としてまとめていますので、地域やご家庭、主催者の雰囲気に合わせて調整してくださいね。
迷ったときは「控えめ上品」に寄せると、大きく外しにくいです。

▶︎帯TPO早見表

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