はじめに
男性も女性も「着物」を着ます。
同じような形に見えるため、
「男性用と女性用って、色や柄が違うだけ?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし、よく見ると男性着物と女性着物には、仕立てや着付け、帯、着姿の作り方など、さまざまな違いがあります。
今回は着物初心者の方にも分かるように、男性着物と女性着物の代表的な違いをご紹介します。
この記事でわかること
- 男性着物と女性着物の基本的な違い
- おはしょりの違い
- 袖の仕立ての違い
- 帯の違い
- 着姿や小物の違い
① 身丈と「おはしょり」の違い
まず分かりやすい違いが、着物の身丈と着付け方です。
女性着物
一般的な女性着物は、着る人の身長に近い長さを基準に仕立てられ、着付けの際に腰部分で長さを調整します。
そのときにできる折り返しが、
「おはしょり」
です。
帯の下から少し見えている布の部分ですね。
男性着物
男性着物は一般的に対丈(ついたけ)で着ます。
つまり、着たときにちょうどよい丈になるように仕立てられ、女性のようなおはしょりは基本的に作りません。
写真を見るときにも比較的見つけやすい違いです。
② 袖の仕立てが違う
袖にも大きな違いがあります。
女性着物では、袖の内側にある身八つ口(みやつぐち)が開いており、袖付けの下にも開いた部分があります。
一方、一般的な男性着物には女性着物と同じような身八つ口がなく、袖付け周辺の仕立ても異なります。
これは単なるデザインの違いではなく、それぞれの着付け方や帯の位置などとも関係しています。
③ 帯の幅が違う
男性と女性では、使われる帯も大きく違います。
女性
女性の着物では、
- 袋帯
- 名古屋帯
- 半幅帯
など、着物や場面に応じてさまざまな帯が使われます。
幅が広く、帯結びそのものが装いの大きなポイントになることも特徴です。
男性
男性着物では、代表的なものとして角帯(かくおび)があります。
女性用の帯より細く、腰まわりに締めます。
ほかに、よりカジュアルな兵児帯などが使われることもあります。
④ 帯を締める位置も違う
帯は幅だけでなく、締める位置にも違いがあります。
女性の帯は胴まわりを広く覆うように締めます。
一方、男性の角帯は一般的に女性より低めの位置で、腰骨あたりを意識して締めます。
そのため同じ直線的な着物でも、完成したシルエットには違いが生まれます。
⑤ 色や柄の傾向
伝統的な男性着物には、
紺、黒、灰色、茶色など、比較的落ち着いた色が多く見られます。
女性着物では、淡い色から鮮やかな色まで幅広く、花・鳥・風景・吉祥文様など多彩な柄があります。
ただし、これは「男性は暗い色、女性は華やかな色でなければならない」という意味ではありません。
現代の着物にはさまざまなデザインがあり、男性も女性も自分らしい色や柄を楽しめます。
⑥ 小物にも違いがある
女性の着物では、
- 帯締め
- 帯揚げ
- 帯留め
など、帯まわりにもさまざまな小物を使います。
男性着物は比較的シンプルですが、羽織を着る場合には羽織紐などが装いのアクセントになります。
帯や羽織、履物など、限られた部分で素材や色を楽しむのも男性着物のおもしろさです。
⑦ 羽織や袴は男性だけのもの?
ここは少し誤解されやすいところです。
羽織や袴は男性だけのものではありません。
女性にも羽織があり、卒業式などでは女性の袴姿もよく見られます。
ただし、男性と女性では仕立てや組み合わせ方、礼装としての位置づけなどが異なる場合があります。
「羽織=男性」「袴=男性」と覚えてしまわないことがポイントです。
比べてみると分かりやすい
男性着物と女性着物の代表的な違いをまとめると、
| 男性着物 | 女性着物 | |
|---|---|---|
| 着丈 | 対丈が基本 | おはしょりで調整 |
| おはしょり | 基本的になし | あり |
| 袖 | 身八つ口なし | 身八つ口あり |
| 帯 | 角帯など | 袋帯・名古屋帯・半幅帯など |
| 帯の位置 | 比較的低め | 胴まわり |
| 小物 | 比較的シンプル | 帯締め・帯揚げなど多彩 |
※着物の種類、時代、用途などによって例外があります。
同じ着物でも、着姿の作り方が違う
男性着物と女性着物は、単に「色柄が違う着物」ではありません。
仕立てから帯、着付けまで、それぞれの着姿を作るための工夫があります。
一方で、どちらにも共通しているのは、直線的な布を身体に合わせて着るという着物ならではの美しさです。
違いを知ってから着物を見ると、
「この袖はどうなっているんだろう?」
「男性だから帯の位置が低いんだ」
と、今までとは違う部分にも目が向くようになります。
まとめ
男性着物と女性着物には、
身丈・おはしょり・袖の仕立て・帯・帯の位置・小物
などに違いがあります。
一見すると似た形でも、細かな仕立てや着付けを見ると、それぞれ違った工夫が隠れています。
まずはすべての決まりを覚える必要はありません。
男性着物を見たら、
「おはしょり」「袖」「帯」
この3つを女性着物と比べてみるだけでも、違いがかなり分かりやすくなります。
着物を「着る」だけではなく、「見る」楽しみも、そこから少しずつ広がっていきます。
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