「着物はサイズを気にしなくても着られる」
そんな話を聞いたことはありませんか?
洋服にはS、M、Lなどのサイズがあります。
一方、着物を見ると、洋服のようなサイズ表記がないこともあります。
そのため、
「着物はフリーサイズなの?」
「どんな着物でも誰でも着られるの?」
と思う人もいるかもしれません。
結論からいうと、着物にもサイズがあります。
ただし、洋服とは少しサイズの考え方が違います。
今回は、着物の寸法と、着付けで調整できる部分についてやさしくご紹介します。
着物にもサイズがあります
着物は、すべて同じ大きさではありません。
一着ずつ寸法があります。
代表的なものには、
・身丈
・裄
・袖丈
・前幅
・後幅
などがあります。
これらの寸法によって、着物の長さや腕まわり、体を包む幅などが変わります。
見た目の基本的な形は似ていても、実際の大きさは一着ずつ異なります。
つまり、「着物にはサイズがない」というわけではありません。
身丈とは?
身丈は、着物の縦の長さを表す寸法です。
着物の丈に関わる大切な部分です。
女性の着物では、着付けの際に「おはしょり」をつくることがあります。
おはしょりとは、帯の下あたりに見える折り返した部分です。
着物の丈を調整しながら着ることで、この部分がつくられます。
そのため、女性の着物は着付けによって丈をある程度調整できます。
ただし、身丈が極端に短い場合など、十分な調整が難しいこともあります。
裄とは?
裄は、首の後ろの中心付近から肩を通り、袖口までの長さに関わる寸法です。
着物を着たときの腕まわりの見え方に大きく関係します。
裄が短いと、手首が大きく見えることがあります。
反対に長すぎると、袖が手にかかりすぎることもあります。
身丈は着付けで調整できる部分がありますが、裄は着付けだけで大きく変えることが難しい寸法です。
そのため、着物のサイズを見るときには裄も大切なポイントになります。
身幅とは?
身幅は、着物が体を包む幅に関わります。
前幅や後幅などの寸法によって構成されています。
着物は左右の身頃を体の前で重ねて着ます。
そのため、ある程度は重なり方を調整することができます。
しかし、身幅が体に対して極端に狭い場合は、十分に身頃を重ねることが難しくなります。
反対に大きすぎる場合も、余る布を着付けの中で整える必要があります。
「巻いて着るから誰でも着られる」というわけではないのです。
なぜ「着物はサイズ調整できる」と言われるの?
着物は、着付けの中でいくつかの部分を調整できます。
丈を整える。
身頃の重なりを調整する。
衿元を整える。
布の位置を体に合わせる。
洋服のように、完成した立体的な形の中へ体を入れるだけではありません。
着る人の体に合わせながら布を整えていきます。
そのため、多少の寸法差であれば着付けによって調整できる場合があります。
これが、「着物はサイズの融通が利く」と言われる理由のひとつです。
昔の着物は着る人に合わせて仕立てられていた
昔から着物は、反物から仕立てられてきました。
着る人の寸法に合わせて仕立てることも多く、一着ずつ大きさが異なります。
私が保管している祖母の着物も、基本の形はよく似ています。
けれど、一着ずつ広げて見ると、丈や裄、身幅などに違いがあります。
着物を並べているだけでは分かりにくい。
実際に触れ、広げてみることで気づく違いがあります。
こうした一着ごとの寸法も、その着物が誰かに着られてきた歴史の一部なのかもしれません。
「フリーサイズ」ではなく「調整しながら着る」
着物を理解するとき、
「着物はフリーサイズ」
と考えるより、
「着付けである程度調整しながら着る衣服」
と考える方が近いでしょう。
着物にも寸法があります。
そして、着付けにも調整できる範囲があります。
サイズがまったく関係ないわけではありません。
けれど、布を体に合わせながら着る仕組みがある。
そこが、洋服とは少し違う着物の特徴です。
まとめ|着物にも一着ずつサイズがある
着物にもサイズがあります。
身丈。
裄。
身幅。
袖丈。
一着ずつ寸法は異なります。
ただし着物は、丈や身頃の重なりなどを着付けの中で調整できる場合があります。
だからこそ、「着物はサイズの融通が利く」と言われることがあります。
サイズがないのではありません。
着る人に合わせながら整える余地がある。
それが、着物のサイズの考え方です。
次に着物を見るときは、色や柄だけではなく、その一着の寸法にも少し注目してみてください。
そこには、その着物が誰かのために仕立てられ、着られてきた時間が残っているかもしれません。
これからもaloでは、日本人にとっては当たり前すぎて説明されることの少ない着物の仕組みや疑問を、やさしくご紹介していきます。
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