はじめに
日本の伝統的な服装の中でも、特徴的な形をしている袴(はかま)。
結婚式で新郎が着ていたり、卒業式で女性が着ていたり、弓道や剣道などで目にすることもあります。
でも、
「袴ってズボンなの?」
「着物とは別のもの?」
「男性だけが着るもの?」
「袴を履けば礼装になるの?」
と聞かれると、意外と説明するのが難しいものです。
今回は、初めて袴について知る方にも分かるように、その基本から見ていきましょう。
この記事でわかること
- 袴とは何か
- 着物と袴の関係
- 馬乗袴と行灯袴の違い
- 男性と女性の袴
- 袴はいつ着るのか
- 袴と礼装の関係
- 紋付羽織袴とは何か
袴とは?
袴(はかま)は、着物の上から腰につけて着用する日本の伝統的な衣服です。
現代の感覚では「ズボンのようなもの」と説明されることがありますが、すべての袴がズボンと同じ構造をしているわけではありません。
種類によって形も異なります。
まず覚えておきたいのは、
着物と袴は別の衣服
ということです。
基本的には着物を着た上から袴をつけます。
袴はどんな形をしている?
袴を見ると目につくのが、縦に入った折り目。
この襞(ひだ)によって、袴独特のすっきりとしたシルエットが生まれます。
腰まわりには紐があり、それを身体に巻いて固定します。
一見シンプルですが、前後の形や紐の結び方など、袴ならではの構造があります。
馬乗袴とは?
袴の代表的な種類のひとつが、
馬乗袴(うまのりばかま)
です。
名前の通り、もともと馬に乗ることとも関係する形で、左右の脚を分けて入れられる構造になっています。
そのため、現代のズボンに少し近いイメージを持つと分かりやすいでしょう。
男性の袴としてよく知られていますが、「馬乗袴=男性だけ」と単純に決まっているわけではありません。
行灯袴とは?
もうひとつ知っておきたいのが、
行灯袴(あんどんばかま)
です。
こちらは馬乗袴とは異なり、内部が左右に分かれていない、スカートのような構造をしています。
外から見ただけでは馬乗袴と似て見えることもあります。
つまり袴には、脚が左右に分かれているもの
と、分かれていないもの
があるのです。
「袴=昔のズボン」と覚えてしまうと、この違いが分からなくなってしまいます。
袴は男性だけのもの?
いいえ。
袴は男性だけの衣服ではありません。
現代では、女性の袴姿を最もよく目にする機会のひとつが卒業式でしょう。
着物に袴を合わせた卒業式の装いは、日本では広く親しまれています。
一方、男性も結婚式や成人式、式典などで袴を着ることがあります。
つまり、男性にも女性にも袴の装いがあるということです。
男性と女性では同じように着るの?
男性と女性では、袴を使ったコーディネートや着付け、使われる場面などに違いがあります。
例えば男性の伝統的な礼装では、
紋付の着物 + 羽織 + 袴
という組み合わせがあります。
女性の卒業式では、
着物 + 袴
というスタイルがよく知られています。
同じ「袴」という名前でも、合わせる着物や全体の着姿は同じではありません。
袴はいつ着るの?
現代では、袴を日常着として見かける機会はそれほど多くありません。
代表的な場面としては、
- 結婚式
- 成人式
- 卒業式
- 式典
- 神社などでの装束
- 茶道や伝統芸能など
- 剣道・弓道などの武道
などがあります。
ただし、同じ袴でも用途によって形や素材、着方は異なります。
袴を履けばフォーマルになる?
ここは男性着物の記事でも大切なポイントです。
袴を履いたからといって、必ず礼装になるわけではありません。
袴にはさまざまな種類があり、武道などでも使われます。
また、礼装の場合には袴だけを見るのではなく、
- 着物
- 羽織
- 紋
- 帯
- 袴
- 場面
など、装い全体を見て判断します。
つまり、
袴=礼装
ではありません。
紋付羽織袴とは?
男性の伝統的な礼装を調べると、
紋付羽織袴(もんつきはおりはかま)
という言葉が出てきます。
これは一着の服の名前ではなく、それぞれの衣服を組み合わせた呼び方です。
紋付
→ 家紋の入った着物
羽織
→ 着物の上から着る上着
袴
→ 着物の上から腰につける衣服
格式ある男性の礼装では、黒の紋付の着物と羽織に五つ紋を入れ、縞袴などを合わせる装いが知られています。
袴の縞模様には意味があるの?
男性の礼装を見ると、白と黒やグレー系の縞が入った袴を目にすることがあります。
これは一般に縞袴(しまばかま)と呼ばれるものです。
男性の格式ある和装で用いられることがあります。
「男性の袴は全部縞模様」というわけではありません。
無地やさまざまな色柄の袴もあります。
袴と帯はどうなっているの?
袴姿を見ると帯がほとんど見えないため、
「帯をしていないの?」
と思うかもしれません。
袴を着る場合にも、その下で帯を締めます。
男性の場合、角帯などを締めた上から袴をつけることがあります。
袴の下に隠れている部分にも、きちんと着付けの構造があるのです。
袴と羽織はセット?
これも必ずではありません。
袴と羽織は別々の衣服です。
男性の紋付羽織袴では両方を使うためセットのように感じますが、袴を着るすべての場面で羽織が必要というわけではありません。
女性の卒業式の袴姿を考えると分かりやすいでしょう。
大切なのは、それぞれの衣服の役割を分けて理解することです。
「袴」を知ると日本の服装がもっと分かる
袴は、現代の日常生活ではそれほど頻繁に着る衣服ではありません。
それでも、日本のさまざまな場面に残っています。
結婚式。
卒業式。
神社。
武道。
伝統芸能。
同じ「袴」という衣服が、異なる形や目的で今も使われています。
だから袴を知ることは、単に昔の服を知るだけではなく、現在にも続いている日本の装いを知ることにつながります。
まとめ
袴について基本をまとめると、
- 着物の上から腰につける衣服
- 着物とは別のもの
- 襞のある特徴的な形をしている
- 馬乗袴は左右に脚を分ける構造
- 行灯袴は内部が分かれていない
- 男性だけでなく女性も着る
- 袴を履くだけで礼装になるわけではない
- 男性の紋付羽織袴では礼装の一部として使われる
- 現在も卒業式・結婚式・武道・伝統文化などで見ることができる
となります。
次に袴姿を見かけたら、
「男性か女性か」だけではなく、「どんな袴?」「何のために着ている?」
にも注目してみてください。
同じ袴でも、そこにはさまざまな日本文化が隠れています。
あわせて読みたい
着物の種類やTPOは、実例を見ると一気にイメージしやすくなります。
迷ったときの参考に、あわせてご覧ください。
着物のやさしい基礎ガイド
着物アーカイブ一覧
あとがき
着物のTPOや考え方は、昔に比べて現代はずいぶん“やさしく”なっています。この記事は一般的な目安としてまとめていますので、地域やご家庭、主催者の雰囲気に合わせて調整してくださいね。
迷ったときは「控えめ上品」に寄せると、大きく外しにくいです。
日本の着物文化をもっと楽しみたい方へ
alo kimono
aloでは、祖母が実際に大切にしていた着物を記録しながら、日本の着物文化や色、文様、季節の美しさを世界へ発信しています。
着物の魅力をもっと知りたい方は、デジタルブックや着物アーカイブもぜひご覧ください。
祖母の着物を通して、日本文化や四季の美しさを未来へつなぐ活動を続けています。

コメント